『終わりのセラフ』レビュー|絶望の世界で、少年たちは何を選ぶのか
ウイルスによって滅んだ世界で、“家族”を奪われた少年・百夜優一郎は、吸血鬼への復讐と大切な人との再会を胸に戦い続ける。
一方、彼の親友・百夜ミカエラは吸血鬼として生きながらも、人間としての心を失わずに優を探し続ける。
「正義」と「悪」が曖昧になる終末の中で、ふたりの少年は再会し、戦場で“共に生きる”という選択を模索する。
本作は、ダークファンタジーの枠を超えて、“力”と“心”の葛藤、組織に翻弄される個人の尊厳、
そして「人間とはなにか?」という普遍的な問いを描き出す物語である。
絶望の中で、それでも希望を見出そうとするすべての人に捧げたい一作。