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『この恋で鼻血を止めて』レビュー|恋とギャグが大暴走!予測不能のハチャメチャ純情ラブコメ

制服姿の少女とスーツ姿の男子が、ぬいぐるみ風にデフォルメされたイラスト。少女が嬉しそうに話しかける中、男子は鼻血を噴き出し驚いた表情を浮かべている。背景はピンクで、明るくコミカルな雰囲気が伝わる。

第1章|“恋”って、こんなにも出血沙汰!?ギャグと純情が暴れまくる異色ラブコメ開幕!

少女漫画の世界では、恋に落ちると“ドキドキ”したり、“キュン”としたりするのが定番。
でもこの作品は違います。ヒロインが恋をすると……鼻血が止まらなくなるんです。

『この恋で鼻血を止めて』は、そんな常識外れのラブコメディ
一見よくある学園恋愛ものに見えて、ギャグのテンションが異常に高い。
ページをめくるごとに繰り広げられる“鼻血×恋”のミスマッチなコンボに、最初は戸惑い、やがてクセになります。


◾️ヒロインがとにかく濃い!破天荒で真っ直ぐな“恋する乙女”

本作のヒロイン・八重森(やえもり)さんは、一目惚れした相手・水無瀬(みなせ)くんを見るたびに鼻血を出してしまう女子高生。
その姿は可憐とはほど遠く、むしろ暴走系ギャグキャラに近い。
でも、まっすぐで健気で、どこか放っておけない魅力を持っています。

恋する気持ちが止まらず、感情が爆発して、結果として鼻血が吹き出す——
この感情と身体のリンクの仕方が、まるで“思春期の不器用さ”を象徴しているようでもあり、笑えるのに妙に共感できるのがポイントです。


◾️冷静イケメン×鼻血ヒロインの凸凹バランスが秀逸

相手役の水無瀬くんは、真面目で無口、ちょっと無表情なクール男子。
そんな彼に向かって、八重森さんは毎回テンションMAXで鼻血を出しながらアプローチ。
この二人の温度差テンポ感が、作品全体に独特の“間”と“笑い”を生み出しています。

しかも水無瀬くんも、鼻血に対して「また出たのか……」と冷静に受け止めており、
読者のツッコミを代弁するような存在でもあります。
この絶妙なバランスが、単なるバカ騒ぎに終わらせない“完成度の高いラブコメ”に昇華しているのです。


◾️ギャグの暴走と、“恋”の真剣さが同居する不思議な空気

一見ギャグ全振りなようでいて、本作は恋のときめきや切なさもきちんと描かれています。
「どうすれば気持ちを伝えられるのか」
「好きってなんだろう」
といったテーマが鼻血の裏に隠れていて、笑わせながらも読者の心をちょっと揺らしてくるのがにくい。

それはまるで、“うまく表現できない初恋”のよう。
だからこそ、バカっぽいのに心に残る。不思議な読後感がクセになります。


『この恋で鼻血を止めて』の第1話は、破壊力満点のギャグと、どこか懐かしい純情ラブの空気が融合した**“恋愛ギャグの怪作”**として、確実に印象に残ります。
次章では、キャラクターの深掘りと、二人の関係性がどう進展していくのかをご紹介します。

第2章|鼻血ヒロインと塩対応男子の、ズレてるけど妙に愛しい“両片想い”

『この恋で鼻血を止めて』の真骨頂は、ギャグの激しさだけではありません。
むしろその笑いの裏側にある、“ピュアすぎて噛み合わない”二人の関係性に、読者はだんだん引き込まれていきます。


◾️ヒロイン・八重森さんは“暴走する真心”の化身

八重森さんは、好きという気持ちが強すぎて、会うたびに鼻血を吹き出す“全力乙女”。
でもそのアプローチはとにかく一途で、どこか誤解だらけ。
彼女にとっての「恋」は、“静かに見守る”ものではなく、“命がけで突進するもの”なのです。

その姿は時に痛々しく、時に笑いを誘いながらも、
「好きってこういうことだったかも」と、忘れていた感情を思い出させてくれます。

彼女の言動はときに空回りするけれど、そこに一切の打算がないからこそ応援したくなる。
読者もまた、“第三者視点で見守る水無瀬くん”のような立場で彼女を見ているのかもしれません。


◾️水無瀬くんは“冷静すぎる”優しさの人

一方で、水無瀬くんは感情を表に出さない“塩対応”タイプ。
八重森さんのアプローチにも動じず、たとえ鼻血が飛んできても微動だにせず冷静に処理します。

でも彼が“無関心”なのかというと、そうではありません。
むしろ、誰よりも八重森さんの行動を観察していて、
困っている時はそっと手を差し伸べるなど、“気づかれない優しさ”の持ち主なのです。

だからこそ、読者は気づきます。
「この二人、完全に両片想いじゃん」と。


◾️噛み合わない会話が生む、愛しいズレ

本作の魅力のひとつは、“会話がまるで噛み合わない”ところです。
八重森さんがテンションMAXで愛を叫ぶ横で、水無瀬くんは「鼻血、また出てる」と淡々と返す。
普通なら成立しないはずのやりとりが、笑いと温かさのハーモニーになっているのです。

しかも、お互いに相手を想ってはいるのに、全然その気持ちが伝わらない。
でも、ふとした瞬間に、ちょっとだけ距離が近づく——
その微妙な進展が読者にとってはたまらないご褒美になります。


◾️恋愛未満のもどかしさが、物語を彩る

この作品には、劇的な告白も、急展開の恋愛もありません。
あるのは、鼻血とズレた会話、そしてじわじわとにじむ“好き”の気持ち

八重森さんは「水無瀬くんが大好き!」と全力で言い続けるけれど、
水無瀬くんの返事はいつも淡々としていて、答えのようで答えではない。

でも、そんな**すれ違いの中にある“確かな感情”**こそが、この物語の核なのです。

第3章|鼻血で笑い、テンポで転げる!ギャグと演出の絶妙な“ズレ感”に注目

『この恋で鼻血を止めて』を読んでいてまず感じるのは、**とにかくテンポがいい!**ということ。
鼻血という“生理的ギャグ”を軸に展開される会話、行動、間(ま)が絶妙にコントロールされていて、まるでコントを読んでいるような疾走感があります。

でもその笑いは決して“うるさい”だけではなく、緻密に組み立てられた“ズレ”の芸術なのです。


◾️笑いの鍵は「温度差」と「繰り返し」

ギャグ作品でありがちなのが、“登場人物全員がハイテンション”で突っ走ってしまう構図。
でも本作は違います。
八重森さん=熱量MAX
水無瀬くん=感情フラット
というコントラストが効いていて、笑いが生まれるたびに“ツッコミの逃げ場”がちゃんと用意されています。

しかも、鼻血というワンパターンになりそうなギャグを、状況・文脈・表現で巧みに変化させてくるのが見事。

  • 告白→鼻血ブシャー
  • 思い出し妄想→鼻血ポタポタ
  • 近づいただけ→鼻血が空を舞う

と、“繰り返し”の中に“変化”を加える技術が光ります。
読者は「また鼻血かよ」と思いながらも、「次はどう出す!?」と期待してしまうのです。


◾️間(ま)と表情で笑わせる“紙芝居的演出”

本作の演出は、台詞だけでなく**“沈黙”と“視線”で語る”部分も非常にうまい。
八重森さんが暴走して→鼻血を出して→水無瀬くんが無言でハンカチを渡す。
……その一連の流れだけで、すでに読者の笑いは完成しているのです。

しかも表情がシュール。
水無瀬くんの“無”の顔や、八重森さんの“ピュアすぎるドヤ顔”など、
**セリフがなくても面白い“絵だけで伝わるギャグ”**がたくさんあるのも魅力です。


◾️“ツッコミ不在”が作る不思議な空気

本作には、いわゆる「ノリの良いツッコミ役」がいません。
むしろツッコミ不在のままギャグが暴走し、
「それを真顔で受け止める」水無瀬くんの存在が**メタ的な“読者の視点”**とリンクしています。

この、笑いながらも「これでいいのか…?」と首をかしげてしまう空気がクセになる。
そう、笑いながらちょっと引く——それこそがこの作品のサブタイトルにふさわしい読後感なのです。


◾️恋とギャグのバランス感覚が絶妙

恋愛要素があるギャグ漫画は多いですが、
本作のように“ギャグが恋の強度を表す”構造はかなり珍しい部類です。

八重森さんの感情は、鼻血としてしか表現できない。
でもその不器用な感情爆発が、逆に純粋さを浮き彫りにしていて、
「笑ってるうちに、なんか泣けてきた……」という状態に陥る読者も少なくありません。


第4章|脇役たちもクセ強め!?“鼻血ギャグ”を支える愛すべき世界の住人たち

『この恋で鼻血を止めて』は、ヒロインとクール男子のギャグラブコメというシンプルな構造に見えて、実は周囲のキャラクターたちの“程よいクセ”が絶妙なスパイスとなっています。
物語が一方向に偏らないように、世界観を立体的に広げる存在——それが彼らです。


◾️天然で無自覚な“第3の破壊者”たち

八重森さんの恋路をそっと見守るどころか、むしろ火に油を注いでくる友人キャラたちが最高です。

たとえば、
・恋バナにテンションが上がりすぎて空回る親友ポジの女子
・水無瀬くんにちょっかいをかける男子キャラ(なのに塩対応される)
・「鼻血?毎回?」と妙に冷静な先生など

彼らの存在が、“八重森=変人”という構図を成立させる一方で、この世界全体がどこかおかしいという空気感を醸し出してくれます。

結果、読者は「鼻血=日常」の構図に徐々に慣れさせられていくのです。


◾️“恋愛”を茶化しているようで、真面目に向き合っている

一見すると、ギャグとテンションで恋愛を騒がしく描いているように見える本作。
でもその本質は、恋愛という“感情の異常事態”を誇張した比喩なのかもしれません。

好きな人に会うだけで挙動不審になる、
声が出ない、
目が合わせられない、
そして――鼻血が出る。

突飛な演出に見えて、実は恋する“どうにもならなさ”の象徴として極めて誠実なのです。
だからこそ、八重森さんの感情表現がギャグでありながら、切実にも感じられるのでしょう。


◾️「伝わらない気持ち」と「一方通行の優しさ」がテーマ

本作に通底するテーマは、“伝わらなさ”と“想いのズレ”。
八重森さんは精一杯に気持ちを表現するけれど、水無瀬くんはその真意をうまく受け取れない。
一方で、水無瀬くんも八重森さんを気遣っているけれど、彼女にはその想いが伝わっていない。

この“すれ違い”がもどかしくも愛おしく、
そして「それでも近づこうとする姿」に、読者は胸を打たれます。

笑いながら、
「この二人が分かり合える日はくるのだろうか」と、
ちょっと真剣に考えてしまう——
その時点で、すでにこの物語の虜になっているのです。


◾️ギャグで包んだ“思春期のリアル”

結局のところ、本作が響くのは、
恋をして不安になる自分も、好きって言えない自分も、全部まとめて笑わせてくれるから

「それでいいんだよ」
「好きって、バカでいいんだよ」

そんなメッセージを、鼻血というギャグで包みながら優しく投げかけてくれる。
だからこの作品は、ただの恋愛コメディではなく、感情の処方箋のような役割すら果たしているのです。


第5章|恋に笑って、自分に優しくなれる。全力で“好き”を叫ぶすべての人へ

『この恋で鼻血を止めて』を読み終えたあと、最初に出てくる感情は「バカすぎて最高!」という笑いかもしれません。
でも、そのあとにじんわりと広がるのは、不器用な恋をしたことがある人ならわかる、“あの頃の自分”への共感と優しさです。


◾️この作品が刺さるのは、どんな人?

本作は、単なるギャグラブコメではありません。
むしろ、恋に対して一歩踏み出せない人、言いたいことがうまく言えない人、素直になれなかった人にこそ刺さります。

  • 「本当はもっと想いを伝えたかった」
  • 「恥ずかしくて、変な行動をとってしまった」
  • 「振り返ると、自分でもバカみたいだった」

そんな経験を持っている人は、きっと八重森さんに自分を重ね、笑いながらも「わかる……」とつぶやいてしまうはずです。

そして水無瀬くんのように、「言葉には出さないけど、大事に想っていた」という経験もまた、多くの人の胸を打つでしょう。


◾️“感情の不器用さ”を笑い飛ばす、やさしい物語

恋って、完璧じゃなくていい。
ドジしても、空回りしても、鼻血が出ても(!?)、まっすぐであればそれでいいんだと、この作品は教えてくれます。

読者は八重森さんの暴走に笑いながら、
「自分もあんなふうに、誰かを好きになってたな」と気づかされる。
笑いながら、自分の不器用さを受け入れられる。
それこそが、この作品が多くの人に愛されている理由です。


◾️恋に“正解”なんてない。だから、この形でもいい

多くの恋愛作品は、「どうすれば相手に想いが伝わるか」や「どう付き合うか」がゴールになります。
でも『この恋で鼻血を止めて』はちょっと違う。
想いが通じなくても、想い続けること自体がすでに愛おしいと伝えてくれます。

八重森さんは、報われないかもしれない。
水無瀬くんは、いつまでたっても反応が薄いかもしれない。
それでも、この物語には**“好きでいること”そのものの価値**が描かれています。

それは、誰かを好きになることが怖いと思っている人にとって、小さな光になるかもしれません。


◾️読後は、ちょっとだけ強くなれる

『この恋で鼻血を止めて』を読み終えたとき、きっとあなたの中に残るのは、
笑いと一緒に残る、ほんの少しの勇気と優しさ。

  • 「不器用でも大丈夫」
  • 「気持ちって、伝わらなくても価値がある」
  • 「恋って、やっぱりいいものだ」

そんなメッセージが、鼻血と共に(!)優しく沁み込んでくるのです。

第6章|このバカバカしさ、癖になる!“笑い”と“共感”が共存する、新感覚ラブコメのススメ

ここまで5章にわたってレビューをお届けしてきた『この恋で鼻血を止めて』。
最後にあらためて、この作品がどうしてこれほど魅力的なのか、どんな人に届いてほしいのかを整理してみましょう。


◾️【1】「ギャグラブコメ」の最前線。テンポ&演出力がすごい!

まず第一に、本作の笑いはただの勢い任せではありません。
テンポ感・間の使い方・キャラの立て方が非常に緻密に作られており、ページをめくる手が止まりません。

鼻血という突飛な設定も、繰り返すことで“日常”として成立していき、
そこに毎回違う形で変化をつけてくる演出が、飽きさせないどころか、むしろクセになります。

読者は気づけば、
「今日はどんな鼻血を見せてくれるのか?」と期待している自分に驚くことでしょう。


◾️【2】キャラの“ズレ”が愛おしい。すれ違う感情のリアル

ヒロインの八重森さんは、まさに“恋することに不器用な人間”の象徴。
感情をストレートにぶつけすぎて鼻血が出るほどなのに、その想いが空回りしてしまう。

一方の水無瀬くんは、感情表現が下手なタイプ。
相手の気持ちには気づいているのに、どう反応すればいいのかがわからない。

この“両片想いのまま進む”構図が、恋愛のもどかしさと切なさ、そして可笑しさを見事に描いています。


◾️【3】笑いながら、じんわり心に残るテーマ性

本作はギャグが中心ですが、決して“ふざけるだけ”の作品ではありません。
そこには、

  • 好きな人を前にすると自分がわからなくなる
  • 言葉にできない気持ちを、どう伝えたらいいのかわからない
  • 恥ずかしくても、素直になりたいと思ってしまう

という、**誰もが一度は抱いた“恋の原風景”**がしっかりと詰まっています。

それを“鼻血”という大胆なモチーフで包み込み、笑いながら届けてくれるこの作品は、ある意味とてもやさしいのです。


◾️【4】こんな人におすすめ!

  • クスッと笑えるラブコメが好きな人
  • 感情表現が苦手で恋に不器用だった経験がある人
  • 少しだけ疲れた心を、柔らかく癒したい人
  • “ギャグ漫画なのに泣きそうになる”作品に弱い人

◾️“バカだけど、全力”。そんな恋をしたすべての人へ

『この恋で鼻血を止めて』は、バカバカしいほどまっすぐで、
不器用だけど真剣な恋のかたちを描いた**“青春の応援歌”のようなラブコメディ**です。

笑って、引いて、でも最後にはきっとちょっとあたたかくなる。
そんな不思議な読後感を、あなたもぜひ体験してみてください。


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